避妊の原理は卵子と精子の出会いを邪魔することです。
妊娠は、卵子と精子が出会った時から始まります。どちらか一方が欠けても妊娠は成立しません。
ですから、その卵子と精子を出会わせなければ妊娠する事はないのです。
その原理を元に、昔から様々な避妊法が考案されてきました。
しかし現在までのところ、100%確実は方法はありません。
より確実であること、より安全であることを考えながら、今の自分に合った方法を選ぶ事が大切です。
いろいろな避妊法
出産の経験が無い女性が使える避妊法には、「コンドーム」と「ピル(経口避妊薬)」があります。
コンドームは手軽だけれど正しく使わなければ失敗する確率が高く、不安があります。
ピルは避妊のための飲み薬です。失敗する確立が非常に低い方法ですが、薬の働きを理解して正しく飲む事が大切です。
出産経験のある女性の避妊法には、「IUD(子宮内避妊器具)・リング」や「不妊手術」などがあります。
・避妊法を選択するのに大切なポイント・
▽確実
▽使い方が簡単
▽副作用が少ない
▽たとえ失敗しても生まれてくる子供への影響がない
▽男性に頼ることなく、女性自ら確実に避妊が行える
ピルは女性の月経リズムを利用した避妊薬です。
毎日一錠づつきちんと服用すればほぼ100%の避妊効果が期待できます。
また、避妊効果が高いだけでなく体のリズムを整えてくれるので月経痛などのトラブルの改善にも役立ちます。
ただし、ピルは万能ではありません。
ですから規則正しくきちんと飲まなければなりません。
月経から月経までのサイクルを一つと考えて避妊するので、状況に合わせてあわてて服用するのでは間に合いません。
飲み忘れると排卵が起こって妊娠してしまうのです。
正しく服用する為に、しっかりと医師に相談して正しいピルを選びましょう。
ピルは3つの働きで避妊を行います。
【1.卵胞抑制(主作用)】
ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが、「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体化ホルモン(LH)」の分泌を抑えるので、排卵が起こらなくなります。
女性のからだのリズムをコントロールするのは、脳にある視床下部と下垂体という部分です。
下垂体は視床下部から分泌される「ゴナドトロピン放出ホルモン」というホルモンの刺激を受け、「卵胞刺激ホルモン(FSH)」、「黄体化ホルモン(LH)」という2つのホルモン(下垂体ホルモン)を分泌します。
このホルモンの働きかけによって、成人した女性の体の中で卵子の元が発育し卵巣からお腹の中に飛び出します。
この状態を排卵といいます。
ピルを服用する事によって、この二つのホルモンの分泌を抑える事によって排卵が起こらなくなります。
【2.受精卵が着床しにくくなる】
FSHとLHの分泌抑制によって卵巣ホルモンの分泌を抑える事になり、子宮内膜があまり厚くならないので受精卵が着床しにくくなります。
垂体下ホルモン(FSHとLH)は、卵巣から「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2つのホルモン(卵巣ホルモン)を分泌させる役目も持っています。
「卵胞ホルモン(エストロゲン)」は子宮に働いて、子宮の内側の壁(内膜)を厚くしていきます。
卵子が成熟し、月に一度の排卵が起るのと平行して子宮内膜が厚くなっていきます。
排卵の後、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の働きも加わって厚くなった子宮内膜は受精した卵子が着床しやすいようにフワフワした状態になります。
ピルを服用することによって、卵胞抑制でFSHとLHの分泌が抑えられ、卵巣ホルモンの分泌も抑えられます。
これにより子宮内膜は受精卵が着床しにくい状態になるのです。
【3.頸管粘液の性質を変化させ、精子の侵入を邪魔する】
女性の体は、月経になると視床下部は「卵巣ホルモンが少なくなった」状態を感知して、再び「ゴナドトロピン放出ホルモン」を分泌します。
ピルを飲むと頸管粘液の性質が分泌期と同じになるので、精子が進入しにくくなります。
このような、3つの作用によって妊娠をふせぐしくみになっています。
ピルには、安全で確実な避妊効果以外にも体に良い効果があります。
▽月経痛などのトラブル改善
ピルを規則正しく飲み続けると、子宮内膜があまり厚くならないうちに月経がおこるようになるので、月経の量が減ってきます。
また、月経痛など多くの女性を悩ませる月経時のトラブルが改善されます。
▽女性特有の病気に対する予防効果も期待されます
ピルを飲んでいる女性には、子宮内膜癌、卵巣癌、骨盤内感染、子宮外妊娠、良性の乳腺腫瘍の発生率が少ないとの調査報告もみられます。
▽「つわり」に似た症状が2〜3ヶ月続く事もあります。
ピルを飲み始めたとき、吐き気や嘔吐など妊娠初期の「つわり」に似た症状が起る事があります。
でもこれは一時的なもので、2〜3ヶ月ピルを飲み続けていると次第に無くなっていきます。
また、少量の不正出血が起る事もありますが、害のある出血ではありません。ピルの種類を変えることで改善されます。
▽ピルのリスク
ピルを飲んでいる女性には、心筋梗塞、血栓症、高血圧、脳卒中、肝臓病などの発生率が高い事が指摘されています。
とくに循環器系の病気は35歳以上の女性で、ヘビースモーカーの人がピルを飲むとリスクが高くなると報告されています。ですから、ピルを飲むならば禁煙をした方が良いでしょう。
ピルにはいくつか種類があります。
含まれるホルモンの量、服用期間中のホルモンの変化などによって、ピルを上手に飲む必要があるのです。
▽「中・高用量ピル」と「低用量ピル」
含まれる卵胞ホルモンの量によって、現在世界では3種類のピルがあります。
卵胞ホルモンの含有量が50μg(マイクログラム)のものを「中用量ピル」、50μgを超えるものを「高用量ピル」、50μg未満のものを「低用量ピル」といいます。
これらのピルの避妊効果はほとんど同じですが、中・高用量ピルに比べて低用量ピルでは、胃腸障害、血栓症、循環器疾患などの副作用はなくなっています。
ただし、ホルモン量が少なく抑えてあるだけに、飲み忘れなどは避妊効果の低下に繋がります。
▽「一相性(いっそうせい)ピル」と「段階型ピル」
ピルは女性の月経周期に合わせて、「21日間のんで7日間休む」28日周期が基本です。
21日間の服用期間中、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの配合量が一定で変わらない「一相性ピル」と、途中何段階かに分けて配合量が異なるものを服用する「段階型ピル」があります。
段階型ピル(三相性ピル)は、より自然なホルモン分泌パターンに近いものにして、服用するホルモン量が少なくても効果がえられるようになっています。
また、ピルに含まれる黄体ホルモンの種類や量によっても、各薬剤の特性は異なってくるのです。
▽「Day1スタートピル」と「サンデースタートピル」
低用量ピルは月経の始まった日から飲み始める「Day1スタートピル」が基本です。
また、「サンデースタートピル」といって、月経が始まって最初の日曜日にスタートする方法もあります。